半可通素人の漂流

哲学から魚のお話まで。半可通素人が書き散らかすネットの海を漂流するブログ。

バイリンガルは思考力が低い?

   ちょっとイメージとは違いますよ、という話。

 
   先日書いた英語の話(プラスひと手間で英会話が楽になる方法 - 半可通素人)に関連してネットを眺めていたら、「バイリンガルは思考力が低下する」という記述を見かけました。率直なイメージでは複数の言語を操れる人が思考力に劣るとは考えにくいですが、これはどういうことでしょうか。
 
   詳しくは、思考は言語によって行われるため、幼い頃から2ヶ国語に接しているとどちらの習熟度も深いところまで至らず、それによって思考の能力も制限されることが起こるそうです。これには賛否両論ありますが、思考の基礎になる言語が疎かになると、当然思考力にも影響が出るという見方です。
 

   上記の状態をダブルリミテッドと言い、海外では実際に問題になっているケースもあるようです(以前はセミリンガルと呼ばれていましたが、差別的であるとして呼称が変わってきているそうです。ここにも前回書いた表現の無難化の話が)。国際結婚で両親が2ヶ国語で子育てをした場合に、2つの言語のどちらでも年齢相応の言語力が身に付かず、論理的思考力、表現力が持てずにストレスを感じる事例などが見られています。

 
   バイリンガル→知的な人という安易なイメージでいたのでこうした話は意外に感じますが、考えてみれば思考は言語によって行うしかなく、その言語に対する習熟度が直接思考力に影響するのは自明の理です。今まで何の疑問も持たずに日本語で考え話をし、日本語でブログを書いていますが、「普通であることにはそれが普通である理由がある」という当たり前のことを突き付けられた感覚です。幼少期の環境によって人格形成に大きな影響が出ることはよく知られていますが、言語に関しても親がどの言語によって子供を育てるか、言い換えるといかに母語をしっかりと身に付けてあげるかが重要であるという点は特に日本においては意識されていないことです。
 
   日本の教育においてはやれ国際化と叫んで英語教育の早期化がどんどん進められていますが、言語能力が思考に影響するということはどれほど考慮されているのでしょうか。建前とお金だけで大事なことを決めてしまうオジサン達に任せていると、どうしようもないことになりそうです。
 
 
   一度バイリンガールなあのYouTuberさんにこの辺りを解説して欲しいものですね。
 
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