半可通素人の漂流

哲学から魚のお話まで。半可通素人が書き散らかすネットの海を漂流するブログ。

環境を優先すれば使い心地が劣後するという話

◆最近の車

   最近外にいる時、交差点などで停車中の車が突然エンジンをかけてその音に少し驚くことがあります。何のことはなく近年普及してきたアイドリングストップ搭載車がエンジンを再始動させた音なのですが、大きな時間差なくエンジンがかかるように技術も進歩してきたのかという感があります。
   昔はエンジンをかけるのにキーを回して一呼吸以上の時間が必要でしたし(エンジン内の点火プラグが数回キュルキュルしてブウーンとエンジンがかかる)、そもそもエンジン始動直後はしばらく暖機してから発進しないとエンジンに悪いと言われていました。今の車はエンジン始動直後に動いても大丈夫なように改良されてきているはずですが、それでも機械なので短時間に停止と発進を繰り返すアイドリングストップはエンジンの負担にならないのかという疑問が浮かびます。(もしやそれで耐用年数を短くして買い替えを促す戦略…ッ!?)
 

   さてそんなアイドリングストップ車を運転していて私が感じること。アイドリングストップは走行中の車がブレーキによって減速して一定速度以下になるとエンジンを停止し、ブレーキを離すと再びエンジンを再始動するというシステムです(メーカーによって違いがあるかもしれません)。よって停止中はずっとブレーキを踏んでいないとアイドリングストップの効果が得られません。それはそれでシステム上は合理的にできているのですが、私はちょっと困ります。

   何故か?結論から言うと、アイドリングストップ車では乗り心地の良い運転ができません。
 

◆車が止まるとき

   皆さん車に乗っていて停止するとき、止まる瞬間にガックンという前方向への力を受けると思います。これはそれまで動いていた車に働いていた慣性によって生じるのですが、運転者によっては結構ガクンと止まる人もいます。急発進急停車を繰り返す人がそれに当てはまりますが、車酔いする人にとってはこれが苦しみへの発端になります。要は酔うということです。私も小さい頃から乗り物に弱く車に乗る度に酔って苦しい思いをしていたのですが、今でもガクガク揺さぶられる車に乗るのは良い気持ちがせず、残念な気分になります。
 
   そうした停止時の乗り心地について、私は免許を取った時の教官に良い運転技術を教わりました。今思えば良い教官に当たったと思うのですが、実技を教わる時にまず「君は同じお金を払って免許を買うか?運転(乗り心地の良い運転)を買うか?」と聞かれました。私は迷わず乗り心地の良い運転を買うと答えたのですが、その中で教わったのが停止時のショックを和らげる技術です。意外と簡単で、ブレーキをかけて減速し、停止する瞬間にフッとブレーキを離します(抜きます)。ブレーキを踏み続ければガクンとなりますが、この方法だけでスーッと止まれることができます。もちろん停止した後は再びブレーキを踏み込み完全に停止させます。確かに運転さえできれば良いのであればこんな細かいことは必要ありません。そして多くの人はこの方法を知らないのではないかと思います。しかし乗り物酔いに苛まれる人にとってはこの小さな気遣いが重要ですし、酔わない人にとっても乗り心地が良くなります。以来この運転法を心掛けているのですが、実際私の運転がスムーズで乗り心地が良いと言ってもらったこともあります。
 

◆あちらを立てるとこちらが立たず

   そして話を戻してアイドリングストップですが、先に説明したように停止時にブレーキを踏んで減速していくとある所でエンジンが止まります。そして停止時にショックを起こさないためにフッとブレーキを離すと、エンジンが再始動します。以降エンジンは回ったまま。これではアイドリングストップの意味がありません。乗り心地を優先させればエンジンが勝手にかかるし、燃費を良くしようと思えばガクッと止まらざるを得ない。これで私は困っている訳です。今のところアイドリングストップ機構は私のような運転方法を想定していないようで、これを両立させるべく「エンジンが再始動せず、かつ停止のショックのないブレーキの抜きどころ」を頑張って探すしかないかなと思っています。もしくはそんな細かい制御は気を使うのでアイドリングストップをストップする(作動しないようにオフする)か。
 
 
   環境を優先すれば乗り心地が劣後するというのはまだ技術的に乗り越えられない課題のようで、今後のさらなる技術開発に期待です。
   …細かいことを気にし過ぎ?