哲学者に女性が少ないのは何故か
このブログでは哲学についてよく取り上げますが、今日は一歩引いてみると気が付く疑問点について探ってみます。
過去記事で哲学の歴史や思想について書きました。
哲学に詳しくないあるいは興味がない方でも、アリストテレスやカント、デカルト、ニーチェなどの名前は聞いたことがあるでしょう。こうした歴史に名を残している哲学者を眺めた時に、ふと疑問に思うことがあります。
それは「女性の哲学者がいない」ということです。誰でもその名を聞いたことがあるような著名な哲学者はおしなべて男性ばかり。これは何故でしょう?
◆社会的要因
1つは社会の発展が男性中心に進み、女性は学問においても枢要な地位が与えられなかったりそもそも自由に思考することが許されなかったりしたという背景があります。教育や職業選択にも様々な制限がありました。現在においても社会はまだまだ男性中心であり、政治や学問の世界でも変わりはありません。私は哲学は人間の生存に直接影響しないためにある意味贅沢な行為であると考えています。そうした贅沢行為が男性の特権として社会的歴史的に囲い込まれてきたという経緯が尾を引いていると見ることができます。男女平等、機会均等と叫んでも長い歴史の上に今の社会が形作られており、人々の意識にも根強く残っているためにこれを覆すのは容易ではありません。
実際に女性の哲学者を調べてみても、20世紀に入ってようやくぽつぽつと現れ始めた程度で、こと日本に関しては圧倒的に少ないです。
◆思考の指向
よく男性は理想主義で女性は現実主義と言います。そうした男女の考え方の指向が異なることが、女性に哲学者が少ない要因であるという見方もできます。男性は理想を語り、分析好きで正義感から世の中を眺めようとします。一方女性は現実を直視し、他人に興味を持ち共感を大事にします。従って「世界はこうあるべき」「いかに生きるべきか」といった哲学が扱う主題は男性の方が興味を持ちやすい性質を持っています。
一時期流行した脳科学でもいわゆる男性脳、女性脳というのが取り上げられ先天的に異なるものだという言説が流布しました。メディアにもてはやされる話題というのは疑ってかかった方が良いと思うので、これには十分な調査と科学的な検証とが必要ですが現実に現れている差異を説明する1つの切り口にはなると思います。
※ネットで検索したところ、興味深いエッセイを見つけました。こちらもご参考にどうぞ。
以上、1つの論点として面白いと思ったので取り上げました。男性が今の地位にふんぞり返らずもっと謙虚にならないと男女の機会均等は進まないと思いますが、日本でも今後女性の哲学者が増えるのかどうか気になるところです。