半可通素人の漂流

哲学から魚のお話まで。半可通素人が書き散らかすネットの海を漂流するブログ。

否定形なのに肯定で答えちゃう日本語

   英語勉強会というと少し大袈裟ですが、職場の英語ネイティブの方に協力していただき英語で会話する会を主催しています。
 

 

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photo by Will Lion

 

   各回で扱うトピックを決めて英語で話すのですが、実際にやってみると日本語と英語の違いを身をもって感じたりします。今日はその中で印象に残ったもののご紹介。

 

◆日本語と英語に見る受け答えの違い

   学生時代に英文法で習った記憶がありますが、否定形を含んだ疑問文に対する受け答えについての日本語と英語の違い。これは言われてみると改めてその違いを認識しますが、普段日本語のみで生活している私達はほとんど意識することがありません。
 
   例えば「忙しくないのですか?」という疑問文に対して。
   仮に忙しくない場合、日本語では「はい、忙しくないです。」と「肯定」+「否定」の形で答えます。これに対して英語では「Aren't you busy?」という疑問に対して「No, I'm not (busy).」と「否定」+「否定」で答えなければいけません。日本語につられて「Yes, I am.」と答えた場合、「いいえ忙しいです。」と意図したものと反対の意味になってしまいます。これが混乱の元で、英語ネイティブの方と話をする時にしばしば相手に要らぬ誤解を与える原因となってしまいます。
 

◆罠に嵌らないためには?

   ではこうした違いに嵌って会話が混乱しないようにするにはどうすれば良いでしょうか。
 
   基本的なルールは以下の通りです。
 
英語の場合、相手の質問に関係なく
▪︎自分の答えが肯定なら「Yes」
▪︎自分の答えが否定なら「No」
 
これだけです。聞かれた質問が肯定か否定かを深く考えると返答に詰まってしまうので、自分の答えが肯定か否定かだけを考えれば良いです。
 
上記の例で言うと、
Are you busy?   (忙しいですか?) に対して
忙しい場合→Yes, I am (busy).   (はい、忙しいです。)
忙しくない場合→No, I'm not (busy).   (いいえ、忙しくないです。)
 
Are'nt you busy?   (忙しくないですか?) に対して
忙しい場合→Yes, I am (busy). (いいえ、忙しいです。)
忙しくない場合→No, I'm not (busy). (はい、忙しくないです。)
 
という具合です。英文法の授業が懐かしい。
 

◆ルールが違う、というだけ

   普段意識をしていないだけについつい日本語の感覚で英語化してしまい、相手の頭にはてなマークを浮かばせてしまいがちです。英語は「話し手の意思」に重きを置き、文の前後関係に厳密な構造を持っていると言えます。対して日本語は「聞き手の質問に対する返答」に重きが置かれ、その後に自分の状態がくるので肯定と否定がひっくり返ったりしています。
   こうしてみると日本語は何故このような受け答えをするのか少し不思議に思えてきます。日本語はかくもややこしい受け答えをしているのだなとも言えますが、それが良い悪いではなく言語のルールの違いに過ぎないので、正しく理解してコミュニケーションを楽しみましょう。