半可通素人の漂流

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瀬を踏んで淵を知るべし(2):川の歩き方入門をまとめてみた

   前回の記事で川の基礎知識をご紹介しましたが、夏の行楽シーズンということで涼を求めて川に出掛ける方もいらっしゃるかもしれません。身近な自然に触れるという意味でも川で遊ぶのはとても良い体験です。一方川はプールなどと異なり水の流れがあり、流れの強さも場所によって様々です。今回はそんな川に入る時に知っておくと良さそうな知識について書こうと思います。

 

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photo by naturalengland

 

◆川は思ったより深いことがある

   水が綺麗な川では特に、川底が見えているような場所でも光の屈折によって実際よりも浅く見えていることがあるため、思わぬ深みが潜んでいます。前回の記事でも書きましたが、タイトルの「瀬を踏んで淵を知る」とはまさにこのことを言っています。川を渡る時は深い所を避けるためにまず明らかに浅瀬の場所から入るようにしましょう。少しでも深ければ水の流れで足元を取られる可能性があります。
 

◆一歩先は闇、と思え

   上記に関連しますが、川の中では一歩先はどんな深さか分かりません。また大きな石があるかもしれないし、逆に泥状で足がはまってしまうかもしれません。常に一歩先には何があるか分からないということに注意しながら歩を進めてください。
   かつて私はウェダー(胴長。胸まで高さのある長靴のロングバージョン状のもの。こんな感じ→ウェダー - Google 検索)を履いて川に立ち込んで釣りをしていた時に、ポイントを移動しようと歩いていたらそれまで腰くらいの深さだった所が急に身長以上に深くなっていて見事に沈み、あっという間に流されたことがあります。張り出していた枝に掴まってなんとか事なきを得ましたが、ウェダーの中に水が流れ込んで泳ぐに泳げず、そのまま流されていたらと思うとゾッとする経験をしました。
   そのようなことがあるので、どんなに注意してもしすぎることはありません。流れの速い場所では特に、そしてウェダーを履いている場合は更に危険な状況になる可能性があるので川でもライフジャケットの着用が必須です。
 

◆重心は後ろ足に

   一歩先は闇なので、陸で歩くような感覚でどんどん前に重心を預けていくと転倒する可能性が高くなります。まず重心は後ろ足に置いておき、一歩先の安全が確認できたら重心を移すようにしましょう。
   ちなみに大学の研究室時代、ウェダーを履いている状態で転倒するなどしてウェダー内部に水が侵入することを「沈する(ちんする)」と言っていました。防水のためにウェダーを履いているのに、ひとたび水が入ると当然水はウェダーから出ていかず、中のズボンからパンツまでビショビショになります。しかも川の水だからなんか臭い。その元も子もなさと「ちんする」というキワドイ呼称から、沈することは川に入る者にとって最大級の屈辱となります。何かの拍子にこけた、私のように突然の深みにはまった、ウェダーの高さギリギリまで深い所を攻めた、など沈するシチュエーションには様々なものがありますが、待っているのは一様に陸に上がってウェダーを脱いだ後の下半身ずぶ濡れの情けない姿です。
 

◆流れの力はあなどれない

   話が脱線したので戻します。川には流れがあります。従って川に入る際には水の流れによる力を無視することはできません。流れが体に当たると体を押す力が働きます。深い所ほど流れが当たる面積が増えるので押される力は強くなります。大体膝より深くなると流れに逆らって歩くのが辛くなってきます。これは流れの速さや川底の状態、大人か子供か、男性か女性かによっても異なってくるので一概には言えませんが、流れの力を軽視すべきではありません。
 

◆対岸の目的地より上流から入る

   前述の通り川には流れの力があるので、流れに逆らって歩くのは力が必要で体力を消耗します。逆に言うと流れに押されて歩くと陸地より楽に早く歩くことができます。これを利用して、川を横断する時は流れの影響を考慮して対岸にある目的地より上流から入り、流れに押されながら下流に向かって斜めに渡っていくと楽です。地形や周囲の状況によりけりですが、無理に流れに直角に歩く必要はありません。
 

◆大人は子供より下流にいるべし

   子供連れの場合、大人よりも力や体力に劣る子供の安全を考えることが重要です。万が一子供が流されたことを考えると、下流に大人がいれば救助できる確率が上がります。この時ロープのついた浮き輪を備えておくとなおいいです。そこまでいかなくても、子供が何か落としたりした時に下流側にいれば拾うことができます。
 
   以上さらっとまとめてみましたが、その他ネットで検索すれば川で遊ぶ際の安全対策が学べるので、出掛ける前におさらいしておきましょう。この季節は毎年痛ましい水の事故が後を絶ちません。必要以上に恐れる必要はありませんが、自分だけは大丈夫なんてことは有り得ないので、安全対策を万全に行い、身近な涼を楽しんでください。