半可通素人の漂流

哲学から魚のお話まで。半可通素人が書き散らかすネットの海を漂流するブログ。

日本の英語教育が変わる⁉︎ − 2020年に4技能試験へ移行

   先日英語に関するセミナーを聴く機会があったので、その覚え書きです。
 

◆英語カリスマ教師の講演

   登壇者の1人は安河内哲也氏。東進ハイスクールの英語講師で、いわゆるカリスマ講師として有名な方です。
   講演のテーマは「本当に使える英語とは」という切り口です。予備校講師というプロだけあって、お話はライブ感に溢れていました。冒頭から英語に関するクイズを交えるなどして聴き手にも参加を促し巻き込んでいき、ご本人の性格もあるのでしょうが終始テンションが高め。語り口は明快でスクリーンに映し出されるスライドも時事ネタを織り込んだ軟らかい「ここ笑うところ」というのを仕込んでおり、聴き手を飽きさせないプロの仕事を垣間見た思いです。
 
   話の中では日本の英語教育が中高6年かけても英語を話せるようにならない問題点が主として取り上げられました。曰く受験突破という目的と受験業界が英語教育を歪めているという指摘です。これには私も同意するところでこのブログでも過去に言及したことがあります。
 

◆日本の英語教育が、変わる

   そしてそんな日本の英語教育が、これまで「変わる、今度こそ変わる」と狼少年のように何度も言われて変わらなかったのが今度は本当に変わります!というお話に。
 
 その中心になるのが大学入試センター試験に代わる新しい入試において、英語は4技能を総合的に評価できる問題に変わるというものです。既に報道されていますが、センター試験は今後廃止され、2020年度から大学入学希望者学力評価テスト(仮称)が導入される予定で、このタイミングで変更するというものです。名前長い…。(更に、高校までに修得した学習成果を測るために高校2,3年生を対象に2019年度から「高等学校基礎学力テスト(仮称)」を導入する予定です。)
 
 4技能とはあまり馴染みのない言葉ですが、LRSWすなわちListening(聞く)、Reading(読む)、Speaking(話す)、Writing(書く)の4つを指します。これまでの英語教育はReadingとListeningに偏っており、これは入試問題が正誤の判定が容易な読解、文法、リスニング問題に安易に偏重していたことに起因していました。これを打破し、「使える英語」を生徒に身に付けさせるためにメスが入ったということです。
 

◆壊滅はチャンス

 これによって従来の受験英語ビジネスは壊滅することになり、これまでそれを推進する側にいた予備校講師の自分も危ういなどと安河内氏は自虐的に仰っていましたが、「壊滅はチャンス」ということも同時に仰っていました。これまでの体制が崩れ、新しいものに適応できる者が大きく伸びることができるということでしょう。ともあれ日本の英語教育は大きな転換点を迎えるようです。
 
 要点としては、これからの英語教育改革は以下の5つが柱になるとのこと。
 1 偏差値からCEFR
 2 解説から活動へ
 3 LRSWの4技能が中心
 4 多様化
 5 問題文法から使用文法へ
 
 
 4技能という言葉、そして大学入試制度が大きく変わるというのは寡聞にして知らなかったのですが、これが変革を促す特効薬になるのかどうか。旧態依然とした英語教育を受けてきた身として今後に注目しています。
 
 ※安河内氏の英語教育論は以下も参考になると思うので興味のある方はどうぞ。