半可通素人の漂流

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街場の就職活動論 ‐ 武器が無いなら作ればいい(その4)

街場の就職活動論 ‐ 武器が無いなら作ればいい(その3) - 半可通素人

の続きです。

思わず長編になってきていますが…気長にお付き合いいただけると幸いです。

 

◆「新卒一括採用」という制度の功罪

 日本での就職活動においては、「新卒一括採用」というのがほぼ事実上の標準になっています。この制度について、ほとんど疑問を抱くことなく組み込まれていく人が大多数です。私もそうでした。

 しかし一歩日本の外に出てみると、事情は異なります。海外においては、そもそも新卒という枠が無い国が一般的です。また学生が同じ時期に就職活動を行い、4月に一斉に入社するのは珍しく、例えばアメリカでは通年で採用を行っています。

 

  •  EU諸国全体の傾向ですが、彼らの就職活動は大学での専攻を生かせる“職種”を選ぶというもの。入社後も同じ職種で勤務し続けるのが向こうの文化で、転職しても前職と同じ職種に就くのが基本です。
また、そもそもヨーロッパには新卒一括採用の概念がないので、就職浪人もありません。 
  • フィンランドでは何歳までに学校を卒業して、就職して、というような年齢制限のあるレールはありません。大学に入るのも卒業するのも自分がしたいときにすればいいという考えです。
    ですから、大学で留年すると就職に不利になるみたいなのは一切ありません。 
  • 海外だと新卒であってもスキルを必要とする国が多いです。そのために学生は自分のスキルを磨いていくということを在学中から意識しています。 
  • アメリカの大学は入るのは易く出るのは難いので有名です。大学生の勉強量はすごく多く、とても日本の典型的な就活生ほど時間をとることはできません。これを理由に、大学一番最後の学期か卒業後に自分のタイミングで学生が職を探し始めるということが普通です。アメリカでは基本的に就活シーズンというのはなく、年中通して会社の職には応募できます。 
  • アメリカの学生は勉学だけではなく、高校・大学在学中から夏休みなどを使って積極的に企業で実施される長期のインターンシップに参加します。
    これは、アカデミックな側面から勉強に励むだけではなく、学んだことを生かして実践的な経験を積むことで、卒業後すぐに即戦力として働けるように準備をするためです。

 

【海外に比べて日本は異例!?】世界各国の就活事情を調査してみた! | CareerPark![キャリアパーク]|みんなのノウハウが集まる場 より引用 

 

 基本的には即戦力であることを重視し、インターンシップなどの経験や個人のスキルに重きが置かれているようです。

 

 これらと比較すると、日本の就職に対する考え方は新卒に即戦力を必要としない代わりに異常とも言える程選択肢が少なく、同調圧力が高い日本社会の縮図がまさに現れていると見ることができます。

 就職活動で自殺者が出るのも日本くらいと言いますが、このような様相を取り上げたアニメーション動画がネットで話題になったこともありました。

 


アニメーション「就活狂想曲」 - YouTube

 

 これを見て抱く感想は人それぞれだと思います。皆が同じことを求められる異常さを不健全だと異議を唱える。学生時代にろくに勉強もしてこないで、就職活動になって慌てて周りに合わせても結局は望んだ結果は得られないというメッセージと受け取る。などなど。

 

 「多様性が認められない社会である」という日本の現状について、確かに考えることは多いです。

 

 その一方でメリットもあります。先程日本では即戦力を必要としないと書きました。大学を卒業したばかりの社会経験がほぼゼロの人間を採用し、社会人としての作法など基礎的な部分からの教育に多大なコストを割いてくれるのは日本の企業くらいでしょう。

 そういった意味では単位取得や卒業要件が厳しくなく、いわばぬるま湯の中にどっぷり浸かっている日本の大学生にとっては、新卒未経験で採用してくれる企業が無いと就職先が見つからないという事態に陥ります。

 いわば「おんぶにだっこ」の状態であり、これまではそれで社会が回っていました。

 しかし、これから先も同じであるとはあまり思えません。

 

 卵が先か鶏が先かの話になりますが、「ゆるい大学生」と「ゼロから育ててくれる企業」という構造が是正されない限り、日本がこうしたガラパゴス状態から向けだすことは難しいでしょう。

 そんなこと言っているけどお前もその構造の恩恵を受けてきただろう!という突っ込みについては、甘んじて受けます。

 

http://www.flickr.com/photos/94975828@N00/6821046942

photo by Barack Obama

 

 

…まだ続きますよ。

 

 

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