半可通素人の漂流

哲学から魚のお話まで。半可通素人が書き散らかすネットの海を漂流するブログ。

「車が突っ込んだ事故」と先入観

(2017/05/06 加筆修正しました。)

 

■ 目を引く画像を見て

   Twitterでふと目にした以下の画像。

 

 

   パッと見た時、まず感じたのは道路の柵も壊れていないし、まるで真上からスポッと置いたかのようにそこにある車の存在に対する不思議さです。まさに「ど う し て こ う な っ た」案件。

   どのようにしたらこんな状況になるのでしょう?実は右側がすごい坂とかになっていて、猛スピードで走ってきた車が飛んで刺さった?搬送車の荷台に載せられていた車が遠心力とかで落ちてきた?はたまた竜巻や突風とか?もしくはアメコミのスーパーヒーローが超能力で吹っ飛ばした?誰かの念能力?

 

   考える程に変な想像力まで駆使してしまいますが…、この方のツイートでタネ明かしがされています。賢明な方は既に気付かれているでしょうが、「車が誤ってバックで急発進し塀に乗り上げた」という事故だそうです。

   言われてみると何てことはありません。しかし、「車は前に進むもの」という先入観がここで答に辿り着くのを邪魔しています。そう、車は後退もできる乗り物でした。

 

■ 先入観の罠

   こうした、「先入観に囚われて一面的な見方しか出来なくなる」ということを人はしばしばやってしまいます。仕事でもプライベートでも、人間関係においても。人は見た目が9割とか、初対面の印象でその人のイメージがほぼ決まってしまうというのも、先入観が思考に大きく影響してくることの1つの現れと言えます。

 

   先入観によって物事を見誤る。やってしまうのはある程度は仕方がないとはいえ、やはり避けたいものです。ではどうすればいいのか?先入観を完全に取っ払うのは無理ですし、こういう場合は次はこうなる!というパターン思考は類似した事例の結果を予測するのに効果的であります。先入観のおかげで考えるのが楽になる側面がありますし、即断即決が求められる場面でも必要な観点となります。従って妙薬はなさそうですが、少なくとも、「自分の考えには先入観が含まれている」ということを知っていることが一歩立ち止まって考えるクセをつけるのに有用に思えます。何とも弱いカウンターですが、対症療法として一定の効果は期待できそうです。

   また、この記事を読んでくださった方から、「先入観による誤りを避けるには違和感が重要じゃないか?」という指摘をいただきました。まさにそれは重要な観点です。人間の感覚というのは自分で思っている以上に優れており、無意識下に気付いていることが多くあります。従って思考に偏ってばかりでなく、ふとした感覚にも敏感になり大事にしたいというのが私の持論です。冒頭の画像も、違和感に満ちていますね。ご指摘に感謝です。

   ちなみに私は学生時代に川で魚類のフィールド調査をしていたのですが(興味のある方は下に挙げる過去記事をご参照ください)、川に潜って魚の目視観察をする時、水草の中や底の石に潜んでいる魚を見つけるには全体を見て、そしてそこにある「違和感」に注意していると見つけやすい、ということがありました。マニアックな話で恐縮ですが、違和感の効用が分かるね、という経験談です。

過去記事はこちら→瀬を踏んで淵を知るべし:川について知ってみよう - 半可通素人の漂流

 

Prejudice.

 

■ 余談ですが

   さて更に話を広げると、この先入観も実は作られたものという場合があり得ます。日頃接しているテレビ、ネット、新聞によって特定のイメージが流布されていないか?という点は指摘しておきたいです。健康番組で取り上げられた食材がバカ売れするも、実は効果はありませんでした!なんて話は枚挙に暇がありません。最近では某国がミサイル撃つぞと騒がしいですが、我が国の最高責任者含め政治屋さん達が連休中に外遊している事実を踏まえると、お偉い方々は有事を喫緊の現実のものとして想定しているわけではなく、メディアが過度に煽って危険性を刷り込んでいるように思えてきますが気のせいでしょうか。

   聞こえの良い情報、目や耳を奪われる情報を鵜呑みにして目先に踊らされる前に、「先入観に囚われていないか?」という一石を投じる姿勢がこの訳の分からない世の中を渡っていく小さな道標になるんじゃないかなと感じます。話を広げ過ぎました。

 

   以上、先入観に注意したいよねというお話でした。例えに事故の画像を持ち出すのは不謹慎ではありますが、うっかり先入観の罠に嵌ってしまったので取り上げました。

   連休に入ったことですし、事故には十分注意しましょう