半可通素人の漂流

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ホカホカに学ぶ平和主義

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photo by Cloudtail

 

 今日は少し変わった動物の生態を紹介します。


 皆さんはボノボという霊長類を知っていますか?

 以前はピグミーチンパンジーと呼ばれていたサルで、ヒトに近いサルと言えばチンパンジーを思い浮かべる人が多いと思いますが、実はこのボノボの方がチンパンジーよりも遺伝的にヒトに近いということが分かっています。
 またヒト、ボノボ、チンパンジーの3種はヒト科に属しており、分類上近しい関係です。その中でボノボはチンパンジーより知能も高く、ヒトの言葉を覚え使いこなす事例が報告されています。
 

 そして特徴的なのが、ボノボには霊長類に多く見られる暴力性がほとんど見られないということです。彼らは母系社会で非常に平和的な群れ行動を示し、群れの中での争いはほとんど観察されていません。チンパンジーなどでは群れのボスが他の群れから来たメスの子を殺してしまうこともあります。これは自身の遺伝子をできるだけ多く残そうとする行動なので、不合理に他人を殺す人間とは異なりますが…。

 争いが起きそうになった時、ボノボはなんと擬似的な性行動をして解決します。特に雌同士の性行動を「ホカホカ」と言います。何だかほかほかしてくる話ですね。緊張を他の行動に置き換えて発散してしまうという平和的な解決方法です。

 
 ヒトは時に互いを憎み争い、行き着く先には殺人を犯します。こうした暴力性や攻撃に対する衝動は一見本能に由来する動物的な行動のように思えますが、近縁の種にこれだけ平和的な性質が見られるというのは示唆的なことです。他人を見下すことで己の優位性を担保するマウンティングであるとか、あいつは学歴が良くて上司にもウケがいいという妬みなど、度量が狭いうえに何の生産性もありません。
 
 怒りは冷静な思考を奪い、視野を狭めてヒトを誤った選択に導きます。争いが起きそうになったらホカホカすればいい、とはいきませんが、ボノボの社会のあり方を見てそこから学ぶことは多くあるように思えます。
 
 
 
 
 チューで全ては解決するんじゃないか!

 そんなボノボですが、現在はコンゴ民主共和国熱帯雨林にのみ生息し、絶滅が危惧されています。平和主義で教わることも多いこの親戚を、ヒトのエゴで滅ぼしてしまうなど全く愚かしいことではないでしょうか。世界にはこんな動物もいるということを、少しだけでも知っておいてもらえればと思います。

 
 
 ボノボは日本のゆったりした良いバンドでもあります。