半可通素人の漂流

哲学から魚のお話まで。半可通素人が書き散らかすネットの海を漂流するブログ。

ネットが可視化する「低学歴の世界」の怖さ

◆低学歴の世界

   先日たまたまネットで衝撃的な記事を見かけました。
 

 
   ブログタイトルがなんだか勘違いさせてしまうようなものになっていますが、この記事には日本の社会に存在する「低学歴の世界」について、ブログ主氏の経験が不思議とあくまで冷静な視点で書かれています。出てくる話はなかなかに驚くものばかりです。以下引用します。
 
ミクシィフェイスブックは知ってても、インターネット、っていうのは知らない。携帯やスマホケータイ小説読んだり日記書いたり写真載せたり動画見たりコメント書いたりしてるけど、でも、インターネット、って知らない。”
ガラケーって言葉も知らない。パッカンのケータイ、って言う。ケータイの前にピッチがあった、と思ってる。それと、こんど機種変する時は、アイフォンとアンドロイドとスマホアイパッド、の中から選ばなくちゃいけないと思ってる。”
“その4つは、「アイフォン=ソフトバンクの薄型ケータイ」「アンドロイド=ドコモの薄型ケータイ」「スマホ=auの薄型ケータイ」「アイパッド=アップルの大型アイポッド(音楽聞いたり動画みる専用機械)」って思ってる。
“うちのほうの電波はauが最強だから、「こんどはスマホにするしかないね。ほんとはアンドロイドがいーのに。スマホよりアンドロイドのほうがいろいろ便利って聞くけど。アイフォンはあの犬が好きじゃないから」って言い方する。”
 
   私達はとかく自分の見えているものが全てだと思ってしまいますが、実際は眼を通して脳が知覚した像の中から、「自分が見たいもの」を認識が抽出して見ているに過ぎません。インターネットが普及し情報端末がこれほど身近な現在、パソコンやスマートフォンを日々使い、ある程度IT関係に明るい人からすれば上記のような人達が存在することは想像できないのではないでしょうか。
 

◆「私のいる世界」の変遷

   人はその属する環境によって得られる情報や成長の余地、将来の選択肢などが驚く程変わってきます。かつて「1億総中流」などと言われたように、日本は戦後の高度成長を経て大多数の国民が経済的に豊かな生活を送れるようになりました。これは世界においても珍しい事例と言えますが、識字率が高く教育の機会も保証され、皆が平均的に豊かになったというのがこれまでの日本社会の見方と言って良いと思います。
   しかし昨今よく言われるように格差の構造化が進み、貧困の再生産や格差の固定化が社会問題になってきました。また少子高齢化などに伴い、都市と地方の格差も叫ばれています。これまで顕在化していなかっただけで元より格差が潜在していたのかもしれませんが、「低学歴の世界」が現実問題として認識され、そこに放り込まれる人や取り残される人々が増えているというのが現在の日本です。
 

◆住んでいる世界が違うという事実

   改めて冒頭の記事に戻ってみると、そうした世界でのいじめのケースも相当に悪質です。ハーレムデブって何なんでしょうか。一時期TwitterなどのSNSで犯罪行為を自慢気に投稿して炎上する事例も話題になりましたが、その背景にこうした世界が存在していることを知ると、やっている本人達はそれが悪いことだという認識が無く、周囲の大人も注意できるレベルではないという構造が見えてきます。
 
   いわゆる「常識的」な層からすると驚くべき知識と認識の不足がそこにはあります。知識がなければそもそも自分達の外に全然違う世界があるということにも気が付きません。
   こうした知識の有無による将来の機会選択の不平等を減らすのが教育の1つの役割だと思うのですが、そうした土俵にすら立てない環境の違いがそこにはあり、平等とは夢物語なのだという現実の深い断絶を改めて思い知らされます。
 

◆ネットによって可視化される現実

   「日本は均質な社会」という幻想がいまだにそこかしこに見られるような気がしていますが、そんなものはとうに存在していません。あるいは元から存在していないとさえ言えそうです。今まではそうした現実は物理的な距離が離れていれば多くは気が付きようもありませんでしたが、ネットが可視化してくれるようになりました。
   ブログ主氏も書いていますが、「低学歴の世界」をそうではない世界と切り離さず、特に将来のある子供達を「外の世界」に連れ出すパイプが必要だと真剣に思います。
 
 
   (余談ですが、ブログやSNSにもサービスごとの棲み分けのようなものがあってそれぞれの世界が作られているように思います。はてなはインテリやオタク系。アメブロはチャラい感じ。FC2は特定分野に特化。WordpressギークTwitterは堅物から下ネタまで玉石混交。Facebookリア充の発表会。完全な私見ですので気に障った方がいたら申し訳ありません。)
 
 

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