街場の就職活動論 ‐ 武器が無いなら作ればいい(その6)
街場の就職活動論 ‐ 武器が無いなら作ればいい(その5) - 半可通素人
の続きです。
こんなに長くなるとは思っていませんでしたがそれもまた良しとします。
◆まずは職に就くこと。話はそれから
日本は豊かな国である、とよく言われます。明日の衣食住に困るということはひとまず無く、治安も良いです。そして物と情報が溢れています。一昔前には多く見られた、生活のためにやむなく働かざるをえず、職業など選べないという状況も相対的に減っています。つまり、食うためにではなく自己実現のための職業選択ができ、かつその選択肢も非常に幅広く用意されています。そしてとりあえず働かなくても、親のスネをかじれば生きていくことはできます。
こうした状態に慣れてしまった日本人は、選択の自由を得た代わりにその選択に伴う責任を軽んじるようになりました。ニート、フリーターの増加、入社3年後までに辞めていく新入社員…。
それらの是非についてここでは触れませんが、自由に選べるということはそのための前提がある、ということを私達は忘れがちです。
就職活動においても多岐にわたる選択肢があるため、多くの人は迷います。もっと自分にあった仕事があるんじゃないか、もっと待遇の良い企業がいい、などなど…。迷うこと自体は良いことですが、一時の気の迷いに流されて刹那的な決断をしてしまうのは得策ではありません。貪欲さが就職活動には必要ですが、同時に謙虚さも持ち合わせておかないといけません。
職業を選べる自由に感謝し、たとえ多少の不満があったとしてもまずは職に就くことを優先する、ということを頭の片隅に置いてください。
更にこのご時世、正社員の地位はもはや特権階級へとなりつつあります(嫌なご時世ですが)。その正社員への門戸が開かれ、前項で触れたように一生に一度しかないこの機会に、その権利を行使しない手はありません。選り好みも大いに結構ですが、名を捨てて実を取る戦略を残しておきたいものです。
なおかつ、現在の日本社会では一度正社員という枠組みから外れると、そこから正社員の地位を手に入れるのは途端に難易度が上がる、という問題があります。どこかの誰かが再チャレンジできる社会を実現する、とか言っていますが、いわゆるセーフティーネットなど未だ影すら見えていないのが現実です。こういうことを知っておかないと、格差構造に絡め取られて笑うに笑えない事態になります。
※正社員が今後も優位性を持つか、という議論は別にされなければいけませんが、ここではとりあえず置いておきます。ちなみに僕たちは就職しなくてもいいのかもしれないと言っている人も世の中にはいます。
そもそも、仕事が自分に合っているかなんて働いてみないと分からないことも沢山あるし、まずは正社員に潜り込んでから転職という形で希望を実現する、という選択もあります。
「人間は目の前の問題は虫眼鏡を通して見える」という喩えがあります。就職活動中は焦りもあり周りとの比較もありますが、一歩引いた視点で眺めてみると冷静になれますね。そしてその方が気持ちも楽になります。
また、就職は「運と縁と勘」という言葉もあります。ここまでくると何やら神頼みのような雰囲気が漂いますが、思わぬところから就職が決まる、というような話もよく転がっています。
ともあれ就職活動をするのであれば、とりあえず何かの職に就くということを一つの目安にしてみてはどうでしょうか?人生は長いです。職を得てからその先を考えるのも遅くはありません。
一方で、この項の最後に強調しておきたいことがあります。私は高い志を掲げ、その実現に向けて渾身の努力をすることが人生において必要だと考えます。就職活動においても、大きな挑戦の機会と捉え、より高い位置に目標を据えて実現に向けて奮闘するべきです。そうすることで自分の成長につながります。よって今回の趣旨はいささか消極的な選択肢を提示しているため、私の信条には必ずしも沿ったものではないです。ですが身の丈に合った考え、更には失敗した時のことも考えておかないと、後から慌てたり後悔してもどうしようもありません。そうした文脈で読んでいただけると幸いです。
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