「金持ち父さん」は実在しない、に透ける残念さ
ご存知の方も多いと思いますが、結構前にベストセラーになったこの本。
- 作者: ロバートキヨサキ,シャロン・レクター(公認会計士),白根美保子
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2000/11/09
- メディア: 単行本
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◆金持ち父さんのホントのところ
世界各国でベストセラーとなり、日本でも大きく取り上げられました。これを読んだ当時、「お金持ちになるには自分が働くのではなくお金に働いてもらう」という発想になるほどと膝を打ったのを覚えています。そして自分も不労所得を確保できないかなと皮算用をしたものです。
この本は一般的に、「親友の父親である金持ち父さんに金持ちになる方法を教えてもらったわーい」という内容だと捉えられていると思います。しかし…、実際には「金持ち父さん」は実在しておらず、この本は筆者が自分の会社が販売するボードゲームを売るために書いた、ということのようです。
これを見て何だか騙されたような気分になってしまいました。本の内容をそのまま鵜呑みにして現実のものと信じてしまう自分の認識もまあザルですし、筆者にすれば金持ち父さんが実在するなんて言ってないじゃんということかもしれません。創作だとしても、日本ではほとんど教えられない経済リテラシーを啓蒙するという点では良くできた本だと感じます。
◆透けて見える資本主義の現実
ですが、「自分の金儲けを目的としてさも実話であるかのように話を作った」という点は感覚的にしこりを覚えてしまいます。「儲けるためには何をしてもいい」という、資本主義の行き着く先に現出する人の際限ない欲望が透けて見えるようで、何だか砂を噛んだようなザラッとした気持ちになります。
現実はそんなものだし実際そんなうまい話はないさ、と言われればそれまでかもしれません。私が行き過ぎた資本主義に懐疑的という姿勢も前提にあるため、見方にバイアスがかかっていることも否めません。ただ筆者は当時人生2度目の破産の最中にあり、この本の売り上げによってその状態から抜け出したということのようで、うまく世の中を手玉にとったなという印象です。またこの本が流行った背景には、マルチ商法などの勧誘に使われたりしたということもあったようです。現に私にこの本を勧めてくれた知人からも、当のボードゲームを使ってお金に関する知識を身に付けよう!というイベントに誘われたことがあります。私は行かなかったのでそれが何らかの勧誘を伴うものだったかは不明ですが、何か胡散臭さを感じてしまいました。Amazonのレビューにも色々なことが書いてあります(これも当然鵜呑みにするべきではありませんが)。
◆好き勝手書きましたが
裏を返せば、美味しい話には棘があるということをそのまま示している本だと言うことができます。鵜呑みにしなければ、お金に対する考え方のヒントをくれる読み易い教科書だと思うので、未読の方は読んでみるのも一興です。
更に知りたい方は以下の記事が詳しいです↓
なお、お金に関する話については過去にこんなことも書いています↓