半可通素人の漂流

哲学から魚のお話まで。半可通素人が書き散らかすネットの海を漂流するブログ。

人間万事塞翁が魚は続く

   6月に入りました(既に1週間以上経ちますが)。今年もそろそろ半分を過ぎようとしているという事実に何とも言えない焦りを感じてしまいますが、時間というものは随分せっかちです。
 

   過去に書いた出来事(人間万事塞翁が魚(うお) - 半可通素人)にて人間万事塞翁が魚の展開があったのですが、その後の進展があったので書き記します。

 

   上記の記事の出来事がきっかけで、役所の環境行政担当の方と知り合うことができました。そして自治体でこれから「生物多様性地域戦略」というのを策定することになったようで、先日なんと私にその検討のための委員会に市民委員として参加して欲しいと連絡が来ました。

 
   なお生物多様性地域戦略とは、読んで字の如く地域の生物多様性保全し、次世代に引き継いでいく為の施策を取り決めるものです。平成20年6月施行の生物多様性基本法において同戦略の策定が地方公共団体の努力義務として規定されており、これが法的根拠となっています。そんな法律知らないよという声が聞こえてきそうですが、まさにそれが環境に関わる問題を扱う際の障害になると私は考えています。
 
   例えば日々の仕事や明日の天気、お金のことなどは「今を生きていく」ために重要となるため必然的に人々の関心が高いです。しかし自然や環境の問題はさしあたって今を生きていくうえでは重要ではなく、「主流になれない」という性質があります。本来は必要な環境が存在しなければ私達の生活が成り立たないので重要度はかなり高いのですが、人はとかく目の前のことに囚われがちなので環境問題は傍流に置かれがちです。更に環境には変化に対する弾力性があり時間を掛けて変化していくものなので、人間の時間感覚と馴染まない面があります。そのかわりに変化はほぼ不可逆的に起こり、1度自然を壊してしまえばそれを取り戻すのは困難であることは皆さんご存知でしょう。
   職業選択の際も、私は魚類や環境の保全に関心があったのですが、そうしたことを扱う業務が世の中の主流になるのか?という観点もあり、迷った結果全く異なる職に就きました。ここで誤解の無いように申しておきたいのですが、環境に関わる仕事がマイナーで価値が低いなどというつもりは毛頭ありません。職業に貴賎はありませんし、あくまで現在の状況でそうなっているというだけのことです。今は関心の高い人が取り組む一部の活動になってしまっているので、むしろ環境や生物に皆が関心を持ち、そこに関わる仕事が主流になるような世の中になって欲しいものです。
 
   話がやや逸れましたが、先日その生物多様性地域戦略策定委員会の第1回会議というものがあったので参加してきました。私は学生時代に「河川の蛇行復元に伴う魚と水生昆虫の多様性回復」というテーマで研究をしていたので、水辺の生物多様性に関する知識を活かして参加することになります。身近には川の他にも農業用水が多く流れており、清流公園があったりするなど水圏環境に恵まれているので、その環境とそこに棲む生物をどのように保全し次世代に伝えていくかに頭を悩ませる必要があります。議論はまだこれから詰めていくという段階ですが、昔取った杵柄で地域に対して何かしらの役割を果たせるというのはまさに塞翁が馬の出来事です。これから3年を掛けて戦略を策定するそうなので、臆せず新しいものを作っていこうと思いを新たにしました。
 
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